NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.2~虚しさの正体~

過去のSNSのチャット履歴を目にし、私は思わず過去を懐かしむ。

結婚前から結婚した当初にかけて、積み重ねてきた履歴。

それは懐かしくもあり、そして正直…虚しくもあるものだった。

 

よく恋愛と結婚は違うというが、これはまさにその典型のようにも思える。

翔平は間違いなく結婚により変わってしまった。

 

それはいつからかだろうか?

 

私はストレスを抱えた日々を過ごすことになってしまった.…。

そういった不満やストレスを抱えたところで、それを解消する術もない。

 

(もうこんな時間なのね)

 

泣き声を上げていた我が子をあやし終え、時計を確認したらもう、既に午前10時を回っていた。

そんな虚しき日々に、私は思わずため息をつく。

しかし、その直後、家の専属家政婦の早苗さんが私に声をかけてくる。

「奥様、どうかなされたのですか?」

「ごめんなさい、何でもないの」

心配して声をかけてきてくれたのだろうが、どう答えていいか分からず、言葉を濁す。

 

そんな心情を察してか、彼女はその後、こんな提案をしてきた。

「奥様、もしよろしければ気晴らしに外出してみてはいかがでしょうか?」

「え…? でも、私が外出したら早苗さんが、聡也の面倒まで見ることなってしまうし…」

「ご心配には及びません、お任せください」

とても有難い提案だった。