NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.2~虚しさの正体~

子宝に恵まれ、高級住宅街に住む女の切実な悩み。

「どうしたらいいの?」そんな迷いを胸に進む道。

 


前回▶年収一億超えの妻たち vol.1~結婚記念日なのに~

 

(何だろう…この虚しさは?)

 

夫である翔平を送り出した後に訪れる虚しさ。

一人息子に恵まれ、夫は年収数億の大企業の代表取締役社長。

さらには名古屋でもセレブタウンと名高い地域に住居を構え、何不自由のない生活を送っている…。

 

周囲の人間はそんな私を見て、きっと羨ましがるのだろう。

幸せそうだな。

何の不満もない生活をしているのだろうな…と。

 

でも現実はそんな理想的かつ幸せに満ちたものではない。

 

誕生日はおろか、大切な結婚記念日まで軽視される始末だ。

多忙のため忘れているだけなのか、それとも眼中にすらないのか?

正直、分からない。

 

そもそも、そうなったのはいつからだったのか…。

少なくとも結婚当時は、そんなことはなかった。

何にしても、ただ耐えるだけの生活には限界がある。

 

だが、そんな生活でも僅かな救いはあった。

その救いとは愛しき我が子の温もりと夜の営みである。

そんなか細いものではあるが、ないよりはマシ。

 

僅かとはいえ、愛情の片鱗でも確かめる術が残されているのだから、まだいいのかも知れない。

そんな事を思いながら、ふとスマホの画面を見つめる。

 

(こんなこともあったのよね…)