NOVEL

「Lady, Bloody Mary」~女の嫉妬~ vol.9

 

「俺と、東京へ行かない?小竹...いや、紗夜さん」

 

ずっと欲しかったもの、奪ってでも手に入れたかった「玉座」

それがすぐ目の前に翳されている。

紗夜は、目を潤ませながらゆっくり頷いた。

 

 

坂間が借りている高級ウィークリーマンションに自然と2人は入っていく。

 

「ずっと...貴方に抱かれたかった」

 

紗夜は背伸びしながら、坂間の耳元でこう告げた。まるであの夜を一掃するように、紗夜は強く坂間にかき抱(いだ)かれた。

 

「貴方を一目見た時から、坂間くんが欲しかった」

 

キスを交わしながら、寝室に寝かされる紗夜。シャワーに入る?と囁かれるも静かに首を降った。

 

「こんな欲張りな子だったんだね」

 

坂間もどうやらそんな姿に興奮したのか、彼女の眼鏡やシュシュを解き放つ。

途端に目つきも微笑みも変わったが、その表情は慈しみに変わった。

 

「どうか私を愛してください」

「俺でいいの?」

「...坂間くんがいいの」

「遼って、呼んで」

 

遼、と呼ぶとついばむようなキスと、舌が捻り込まれる深いキスを互いに味わう。

心がないセックスはまるで自分本位だったが、互いを求め合うセックスはまるで森の中にいるように豊かで潤されるものであった。

 

情事を終え、横で静かに寝息を立てる坂間の乱れた髪の毛を直しつつ紗夜はやっと心から微笑み、彼の横で眠ることができた。

 

 

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 聖奈と蒼が選んだ道、迷走するリノはどこへ行く?そして紗夜と坂間の運命は?遂に「女王の座(ブラッディー・メアリー)」に着く一人が決定する!?