NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.3~失望~

電話で早苗さんに今晩、遅くなることを告げ、シャワーを浴びるとベッドへと直行する。

「自宅でするのとは、何か違うな」

「そうね」

「何が違うんだろうな?」

「ムードかしら?」

 

私たちは部屋の灯りを消し、室内が薄暗くなる。

敢えてそうしたのは、この方がもっとムードを楽しめるからだ…。

それにこっちの方がお互いの心の中の熱が高まる。

 

うっすらとした灯りに照らされ、窓から僅かに差し込む光を見据えながら本日、三度目の口付けを交わす。

翔平は年齢こそ一回り以上離れているが、それを感じさせないくらい情熱的に私の体を貪る。

ぶつかり合う肢体に熱を感じながら…。

 

そして、行為を終え、一時間ほど経過したころ…不意に彼は私に問いかけてる。

「泊まっていくのと帰るの、どっちがいい?」

「早苗さんに聡也のこと任せっきりだから、家に戻りたいのだけどいい?」

「分かった。帰ろうか」

 

翔平は私の言葉に納得し、チェックアウトを済ませた後、送迎用のベンツを呼んだ。

こうしてベンツに乗り込んだ私たちは、自宅へと帰宅する。

 

「お帰りなさいませ。旦那様、奥様」

到着すると、早苗さんが私たちを笑顔で出迎えてくれた。

 

胸躍る時間を満喫した私は、その余韻を噛みしめながら家の中へと足を踏み入れる。

「ありがとう、早苗さん。面倒をかけてしまって、ごめんなさい」

「いえ、これも仕事のうちですから気になさらないでください」

私の言葉に対し早苗さんは微笑みながら答える。

 

本当に彼女には感謝しかない。

これで離れていた彼との距離は、きっと縮まるだろう・・・。

私はそう考えていた。