NOVEL

引きこもり女の裏側 vol.7 ~あの頃の満たされた気持ち~

褒めてくれたことがまた期待値を高める。

ボディソープを泡立てる手が、いつもよりも素早かった。

 

 

今日の成果は、○。

スタミナもあるし、力強い。

抱いたときの感覚はイマイチでフィット感がないけれど、おおむね満足した。

 

「大丈夫?」

 

と気遣ってくれたし、

 

「かわいい」

 

と褒めてもくれた。

 

―この人は慣れてるな。

 

と冷静に分析できたのは、全てが終わってからだった。

頭で考える余裕がないほど、良い時間だった。

 

「すごくよかったです。ぜひまたお会いしたいです。」

 

帰り際、幸枝から伝えた。

 

「喜んでくれたならよかった。」

 

満面の笑みを見せる。

 

「また連絡して。」

 

そう言って、紙に書いた連絡先を渡される。何の意味もないような数字と英字が並んでいた。

捨てアドレスだろう。

 

「夜も遅いし、送っていくよ。」

 

紳士らしく提案してくれたが、幸枝はお断りした。まあいいか、と厚意に甘えてしまったら、情がわいてきてしまう。

深入りはしない。

タクシーを呼び、彼を見送る。つい先ほどのことを思い出す。まだ余韻があるのか、体が熱い。顔が火照っているようだ。