NOVEL

引きこもり女の裏側 vol.6 ~心にぽっかり空いた穴~

公平を引きずる気持ちを払拭するために始めたのはマッチングアプリ。

恋愛のいいとこ取りをしたい、面倒なことはせずに、一時の快感を味わいたいという幸枝がとった行動は・・・!?

 


前回:引きこもり女の裏側 vol.5 ~誰も知らない家での楽しみ~

 

寂しい、寂しい。

人恋しい。

人と繋がりを求めるくせに、深く関わるのは面倒臭い。

寂しい、心にぽっかりと開いた穴を埋める方法は、

 

男。

 

興味本位で始めたアプリだったが、アプリをしている間は、幸枝は心がうきうきした。誰かに求められる感覚、認められた嬉しさ、心が通じ合えたような高揚感。

 

一時的に得られるそれらは全て錯覚だろう。

 

公平に愛されていた実感があり、彼を忘れられない幸枝にとって、アプリで出会う男性たちは心をもたない人形に思えた。アプリには真面目に恋人を探している人もいたし、恋人になった人を大切にしそうな誠実な男性もいた。

だが、幸枝の求めている人は、そういった男性たちではなかった。

 

面倒なことはせずに、一時の快感を味わいたい。

恋愛のいいとこ取りをしたい。

 

それには、求める男性像がある。

 

まず、口が堅いこと。

幸枝がアプリをしているということを口外しない人。

そして、清潔感がある人。

最低限でもこの人とならキスができると許せる人。

最後に、結婚願望がなく、県外の人。

 

元カレの二の舞は演じない。

そして万が一どこかで遭遇したり、誰かと繋がりがあるとも限らないので、なるべく遠くの人がいい。

 

これさえクリアすれば、どんな男性とでもよかった。

 

―アプリで割り切って遊べる男性を探そう。

 

何度かやり取りをしながら、候補をしぼっていく。そのうち、幸枝の要求に応じて運転免許証の画像を送ってきた3人と会うことに決めた。