NOVEL

玉の輿vol.4~羨望の章~

此処はまさに、異次元だった。

 

「初めまして…珠子と申します」

 

何とか、挨拶だけは出来たが…

雄一郎は珠子の事を一切無視して、麻梨恵だけを瞳に映していた。

 

「いつ、日本に戻ったんだよ」

「半年前くらいかしら?雄一郎が身を固める決心をしたって、聞きつけて…興味があってね」

 

麻梨恵は、珠子を品評するかの如く見つめ、クスっと笑った。

「素敵な奥様ね!」

少ししゃがれた、セクシーな低音が珠子の耳をくすぐる。

 

―怖い…この、空間も、この人も…―

 

一気に緊張の糸が、プツンと音を立てて切れて…珠子は、その場に倒れ込んだ!!

 

 

Next46日更新予定

夜会で倒れてしまった珠子は寝室のベッドの上で目を覚ました。珠子専属のスタイリスト愛子がずっと付き添ってくれ、夜会で出会った女・麻梨恵について赤裸々に語り始めた。