良家の娘として母親に厳しく育てられ、遊ぶ自由すらなかった清美。
そろそろいい歳だからとお見合いを持ち掛けられ渋々了承するが、お見合い相手との会話にも母親が口を出し会話が成り立たなかった。
自身も相手方の母親に質問攻めにされ、審査会のようなお見合いで友好を深めるどころではなかった。
幸先の悪い出だしとなり、ここからいい関係に持っていけるのだろか？
前回：家にも外にも居場所がない vol.2 ～お見合いという名の審査会～
親たちの思惑はどうかわかりませんが、私の意見としては最悪のお見合いでした。
お相手の庄司さんもどう思っているのかはわかりませんが、あの状況ではあまり良い印象は抱いていないと思います。
「ふたりとも恥ずかしがって仕方ないわね。これから頑張りなさい？」
「ごめんなさい。やっぱり緊張しちゃって」
母の機嫌を損ねるわけにもいかず曖昧に笑うしかありませんでした。
恥ずかしがっていたというより話す余裕がなかったというほうが正確な気がします。
母曰く、あの日は顔を合わせる程度でいいらしく、ここから本人たちがよくやってくれればいいそうです。
あの出会いからどう上手くやっていけばいいのでしょう？
食事を一緒にしただけでお互いほぼ初対面となんら変わらない気がします。
これからどうしたらいいのか。恋愛経験も特にない私が悩んでいると庄司さんから連絡がありました。
『来週末、都合の良い日はありますか？ よろしければどこかでゆっくりお話でもできればと思いまして』
親の手前、何もしないわけにはいきませんので、正直ホッとしました。
自分から行動する勇気はありませんでしたし、なにか良い案も思いつきそうになかったので、私は喜んでこのお誘いに乗ることにしました。
『お誘いいただきありがとうございます。日曜日は予定がありませんので、ご一緒できると嬉しいです』
お見合いで知り合った人同士、最初はこんな感じなのでしょうか。
絶対に何か間違えている感覚がぬぐえませんでした。
親の取り決めた縁談で、査問会のようなお見合い。
今のところ事務的な、機械的な付き合いでしかなくどうにも気持ちが入っていきません。
庄司さんが悪い人とは思いませんが、どうにも恋愛とは違う気がするのです。
デートのお誘いがあったことを母に伝えると
「あらあらさっそくいい感じじゃない！ これは結婚式の日取りも考えておかないといけないわね！」