NOVEL

家にも外にも居場所がない vol.6 ~笑顔の下に潜んだ本性~

 

更に面倒事はこれだけではありません。彼の実家にお邪魔することが何度かあったのですが、そこでも嫌なことがありました。

 

「あなたが琢磨の彼女?」

「はい……。あの、失礼ですがあなたは?」

「琢磨の姉だけど? 何、聞いてないの?」

 

琢磨さんの姉だという泉さんは私と同じくらいの歳で、やたらと高そうなブランドもので身を包んでいました。どこか人を蔑むような、傲慢な印象です。

 

「それは失礼いたしました。琢磨さんのお姉さまとは知らず」

「ほんと失礼しちゃうわね。彼氏の姉もわからないわけ?」

「すいません」

「あ、ちょうどいいわ。あんたちょっと家の掃除しなさいよ」

「え? それは、その」

 

突然の要求に私は戸惑ってしまいました。今日は琢磨さんのお母さまとお話や食事をする予定で来たので、急にそんなことを言われても困ってしまいます。

 

「別にいいでしょ? どうせこれから何度か来るんだし、自分の家みたいなもんでしょ? それに進んで家事すれば母さんも喜ぶわよ?」

「それは、そうですが」

「なに、あんた琢磨と結婚すんでしょ? そしたらあたしはあんたの姉になるのよ? 姉のいう事が聞けないわけ?」

 

そのまま強引に言われ、私は家の掃除をすることになりました。琢磨さんは特に関心がないようで知らぬ存ぜぬ。琢磨さんのお母さまは家庭的で嬉しいと言ってくださいましたが、私は納得いきませんでした。

 

それからも泉さんに会うたびに雑用をやらされたり、食事に文句をつけられたりと散々でした。琢磨さんに助けを求めても、

 

「別にいいだろそれくらい。大したことじゃないんだからぐちぐち言うな、よめんどくせえ」

 

と、全く取り合ってくれませんでした。確かに大したことではないかもしれませんが、細かいことでも何度も何度も執拗に続けられてはストレスになります。