意外な結婚記念日の幸ある時間。
しかし、その後訪れたのは何時もの日々。
失望した先にある活路とは?
はじめから読む▶年収一億超えの妻たち vol.1~結婚記念日なのに~
「レストランを予約しておいた」
翔平はキスの後、私に向けてそう告げる。
彼が予約したレストランは名古屋市内でもよく知られている有名高級レストランだった。
そう言われて断る理由などあるはずもなく、私たちは早苗さんに聡也の世話をお願いしてレストランへと向かう。
そして、迎えに来たベンツに乗った後、再び熱烈な口付けを交わす。
こうして私たちに情熱的な瞬間が訪れる。
その後、高級レストランに足を運び、高級ワイン・シャトーボルドーを口にしながらA5ランクの高級肉料理と野菜料理に舌鼓を打つ。
「久しぶりよね、こうして二人でレストランに来るのは?」
「そうだな、確かに最近、二人で来れてないな」
「今日はありがとうね、アナタ」
「いや、最近は忙しくて、夫らしいことも出来ていなかったからな」
そんな他愛もない話をしながら私たちは食事を終えた。
しかし、そのまま帰宅するのかと思いきや彼は不意に告げてくる。
「その…なんだ。実はこのホテルの一室を予約しているんだ」
いつもと異なり、遠慮気味に言う翔平。
「ええ、行きましょうか」
私は彼が何を言わんとしているのかを覚(さと)り、静かに頷く。
昔に戻ったような…そんな感覚。
とても新鮮だった。