NOVEL

勝ち組妻 Vol.7 ~強く生きる彼女の仮面がはがれるとき~

 

「我慢はしてないの?」

 京子が聞くと、里香は心底楽しそうに声を出して笑った。

 

「我慢?してないですよ。むしろ、楽しんでます。次はどんなボロを出してくれるのか。誰かが旦那を褒めるたびに、心の中で笑い飛ばしています。『あなたが思うほど、いい旦那ではないですよ。騙されていますよ』って。旦那の弱みを握ったと思っていますから、そこはいいんです。」

 里香に強がっている様子はない。

 

「じゃあ、里香さんの悩みって…?」

 「旦那が浮気してるってわかってから、わたしたちはレスなんです。わたしが旦那としたくなくて。そうはいっても、わたしにだって性欲はある。誰かに触れてもらいたい。」

 里香は、すっかりぬるくなってしまった紅茶をぐっと飲み干す。

 

「浮気しちゃだめだってわかっているんです。旦那に原因があるんだし、離婚もできるでしょう。でも、それができないのはなぜでしょうか。」

 明るくしているが、彼女は旦那さんの浮気に苦しんで、葛藤している。

 それがひしひしと感じられ、京子はしんどかった。

 何もできない自分に虚しさを感じる。

 

「あ!そうだ!京子さん、占いもできるんでしたよね。わたし、占い大好きで!わたしの未来占ってもらえませんか。」

 里香がぱっと顔を輝かせる。

 

 

 

「もちろん、いいですよ。」

 占いで未来を予測することはできるが、大事なのはアドバイス。

 そして、今の里香に必要なのは寄り添う心。

 

彼女の心が晴れるように、と願いを込めて、京子はカードを切った。

 

 

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