「おうかがいした条件ですと、11名の方とマッチングします」
「え!11名、ですか」
こんなに少ないのかと、愕然とした。
「当社は会社役員の方や公認会計士、大企業勤務の方などが多数おられます。特に中込様は大変お綺麗な方ですし、お会いできる方の条件は決して悪いものではないです」
愛沙は悩んだ。
このまま受け身だとずっと結婚できない気がする。
入会は悪い判断ではないはずだ。
それはわかっているが…
―ずっとちやほやされてきたわたしが、結婚相談所に頼ろうとしているとは。
プライドが邪魔をする。
「条件の良い方はすぐに退会されるので、入会をお考えでしたら早めのご決断をおすすめいたします」
その言葉に、愛沙は半ば勢いで入会を決意した。
―今ここで良い男を逃したくない!
後日、収入証明書や独身証明書などの必要書類を持って改めて来店することになった。
―今までの感じでいくと、引く手あまただろうけど…。
若干の不安があるのは、先日の婚活パーティーの件があるからだ。
11名の中に、果たしてうまくいく男性がいるだろうか。
婚活のプロが言う、成婚率9割のうちの1人になることを願うことにした。
必要書類を揃えた次の週の土曜日に、相談所に正式に入会した。
何が何でも良い男と結婚したかったので、一番サポートの手厚いプレミアムコースを選んだ。
値段はやはり高かった。
しばらくお小遣いの額を増やしてもらおう。
入会したその場で以前の条件で検索をかけてもらったが、どうやら1人成婚したらしい。
結果が10件に減っていた。
なるほど。
やはり良い男は早くに相手が見つかってしまうか。
これはいよいよ本腰をいれなければならないかもしれない。