NOVEL

選ばれない女 vol.1~婚活パーティー~

2年付き合った彼氏と別れたばかりの美人OL中込愛沙。

30代に入り出会いが少なくなる中で、気乗りしない婚活パーティーに初めて参加することとなる。

その結果はいかに⁉

 


 

「参加費、ちょうど頂きました。本人確認もとれましたので、こちらのプロフィール用紙に記入してお待ちください」

 

人の好さそうな笑みを浮かべる女性スタッフから数枚の紙を受け取る。

プロフィール用紙の他には、座席表と説明書。

座席表に書かれた座席につき、説明書を斜め読みする。

 

―ふーん、プロフィールとか書くんだ。

プロフィール用紙を眺めペンを手に取る。

 

プロフィール

名前:中込愛沙(なかごめ あいさ)

年齢:35

職業:事務

―こんな感じでいいのかな。

中込愛沙は会社の後輩、金森美里の勧めで、人生初の婚活パーティーに来ていた。

 

―――遡ること1カ月前。

「美里ちゃん、誰か良い人いない?」

 

2年付き合った彼氏と別れたばかりの愛沙は、結婚を焦っていた。

20代の頃は圧倒的な美貌と若さから、多くの男性にモテてきた。

 

「女優さんみたい」

「こんな美人今まで見たことない!」

「愛沙と付き合えるなんて幸せだな」

 

容姿を褒められることには慣れていた。

若い頃からモテてきた愛沙には言い寄ってくる男がたくさんいた。

 

選り取り見取りであり、その中で自分に釣り合う男性といえば、いわゆる高給取りやイケメンは当たり前。

誰もがうらやむような男性と付き合ってきた。

 

結婚するなら年収1500万円以上、身長175センチはあって最低でも大卒。

これだけは譲れない条件だった。

 

選ばれるためには美容にも洋服にもお金をかけたし、ダイエットのために食べたいものも我慢した。

プロポーションを維持するための毎日のストレッチは欠かさなかった。

努力して顔も身体も美しさを保ってきた愛沙は、それ相応の男に見初められることがその努力に対する当然の権利だと思っていた。

 

33歳から2年交際した彼はもちろん愛沙の条件に当てはまった。

彼とは、当然のように結婚するものだと思っていたのに…。