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わたし、いかにも庶民?というか、どこにでもいるって感じがしますよね。
なにも語れるものがないんですよ、わたしには。
旦那といると、周りから言われましたよ。
「なんで、あんなに普通の子が…。」
って。
並んで歩いていると、目立つんでしょうね。
わたし、このとおり顔もかわいいわけではないし、スタイルも悪いですし。
当然ですよね。
自慢ではないですが、旦那はお金持ちで、客観的に見て顔もいいんです。
結婚するってなったとき、友達にはやっぱりうらやましがられました。
「玉の輿じゃん!いいなー。」
「旦那さん、テレビに出てる人?」
「どこで知り合ったの?」
露骨に聞いてこない子もいました。
そのかわり、
「よかったね。」
って言ってくれました。
もちろん友達はみんな思いやりのあるいい子ばかりなんですけど…。
優しい言葉をかけられても、身の振り方には気を遣いますよね。
あまり、旦那のことは話さないようにしようかなって思っていました。
どう話しても、自慢に聞こえてしまいそうで…。
あ、「意外」と思いました?
わたしも実はいろいろ考えてるんですよ。
結婚というイベントに対して、女性の心が複雑に動くものだということも、同じ女として理解できますから。
…いろいろ言われて、傷つかないわけじゃない。
でも、わたしにとって周りの人の意見なんて、どうでもいいんです。
旦那がわたしを選んでくれた、その事実があれば満足です。
――騙されているんじゃないか。
――いつか離婚を切り出されるのではないだろうか。
一瞬、旦那を疑ったこともありました。
実は、出会ってから結婚までも早かったんです。
それもあって、なんでわたしなんだろうって思ったんです。
まあ、一緒に暮らし始めたら、そんな疑問も吹き飛んじゃいましたけどね。
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里香は笑って言う。
「旦那さんに愛されてるのね。」
ふっと笑みが消える。
「そのときは、そう思っていました。問題が発覚したのは、最近のことです。」
里香は膝の上で両手を祈るように組み、ぐっと力を入れていた。
next:1月25日更新