いや、そう決めつけるのは、まだ早い。
もしかしたら、取引先の接待か何かかもしれない…。
そう思い私は翌日も、その翌日も監視を続けた。
しかし…。
「状況の方はいかがですか、奥様?」
「え…あ、うん。やっぱり、浮気している可能性高いと思う…」
「それはそういった証拠が確認できたということでしょうか?」
「証拠はまだないわ。でも…高級ホテルに見知らぬ女性と週四回も行っているのよ? 明らかに接待じゃないわよね?」
「そう判断するのはまだ早計かもしれませんね?それはそうと今日は奥様のお誕生日ですね」
「ええ、そうだけど、今は自分の誕生日なんて祝う気分にはなれないわ。ごめんなさい」
夫の事を考えると正直、それどころではなかった。
何より心から祝福してくれるものもいないのに、祝う意味などない。
夫は今日も例の女性とホテルに行っているのだろうか…?
私のことなんか忘れて・・・。
そんな悲しい想いに心の中を支配され、苦しみに押し潰されそうになる。
ところが、その直後。
予想外の事が起こる。
突然、夫が帰ってきたのだ。
でも何で…?
混乱する思考。
しかし、そんな中、顔を赤らめながら夫は私に一つの包装された小さな箱を手渡す。
「あ~、きょ、今日はお前の誕生日だったな。これはその…なんだ…プレゼントだ」
「え…? 覚えていてくれたの?」
「当たり前だろ」
「ありがとう…」
礼を言い私は受け取った箱を開けた。
その中には綺麗な細工が施されたイヤリングが…。
「綺麗…」