NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.10 最終回~疑念の後…~

どうするべきかの覚悟も方針も既に決まっている…。

ただ、自身の考えを実行するには、一人では些(いささ)か心許ない。

だからこそ、信頼に足る家政婦である早苗さんに一度、相談する必要があった。

 

そして、彼女は私の考えを聞き、僅かな沈黙の後、問いかけてくる。

 

「つまり、自分で旦那様の動向を確かめたい…そういうことですね?」

「ええ、でも、そうなると夫の行動を把握しておく必要があるわ」

「確かにそうですね。旦那様の立場から考えて外出も多いでしょうから張り込みは簡単ではないと思います」

「そうよね…。何かいい方法ないかしら?」

「そうですね…。あまり好ましくはありませんが旦那様の居場所を探る方法はなくもないですね」

「そうよね、そう都合よくは…えっ、今なんて?」

 

意外な返答に思わず、聞き返す。

 

その後、早苗さんは徐(おもむろ)に言った。

「奥様、小型GPS発信機のことはご存じですか?」

「携帯にも組み込まれている、あのGPS?」

「はい、そのGPSです。実は携帯から確認できる小型のGPS発信機というものがあるんです」

「つまり、それを使って夫の行動を把握するということね?」

「はい、その通りです、奥様」

 

彼女がなんで、そんな怪しげなことに詳しいのか正直、謎だったけど今はそれしかない。

そして、早苗さんにお願いし、発信機の手配と様々な段取りを行ってもらうことにした。

 

それから数日後、息子のことは早苗さんに任せ、私はGPSを使い夫の動向を監視し始める。

ただ、ずっと張り付いているわけにもいかないので、夕方に限定して見張ることにした。

 

しかし、意外にもこの時間予測は見事に的中する。

 

監視を開始した日、夫は名古屋市内にある高級ホテルに赴いていた。

 

でも、彼は一人ではなく…。

見知らぬ女性と共にいたのである。

 

その後、彼らは私が見てる前で高級ホテルへと入っていった。

やはり、浮気をしているのだろうか?