NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.10 最終回~疑念の後…~

「あの女性は誰なの?」

渦巻く疑念と裏切られた妻の想い、夫の真意と真実は。


前回▶年収一億超えの妻たち vol.9~逡巡~

はじめから読む▶年収一億超えの妻たち vol.1~結婚記念日なのに~

 

「どうぞ、遠慮なさらずに」

「ええ、お邪魔します」

 

自宅を訪れた安奈さんが、頷きながら私の言葉に従う。

今日、彼女が自宅に来た理由は私がママ会を開き、彼女を招いたからだ。

 

そして、ママ会を開いた理由はただ一つ、夫のことを相談するためである。

こうして、私と早苗さんが作った手料理を、来客である安奈さんに振る舞いながら、ママ会は開催された。

 

一見すれば、順調に進行しているように見えたママ会だったが、その状況には大きな問題が一つ・・・。

 

その問題とはいかにして、夫の話を切り出すかであった。

他愛もない家庭内の話なら切り出すのに躊躇はない。

 

しかし、事が事だけにそう簡単にはいかなかった。

 

(どうやって切り出したらいいんだろう…?)

 

安奈さんに悟られないように笑顔で、他愛もない話に花を咲かせつつも、心の底では話の糸口を見つけようと四苦八苦する。

 

そんな時・・・。

「そろそろ本題に入らない?」

 

(え…?)

 

まるで心に中を見透かされているかのように、彼女がそう告げてくる。

でも、どうして?

 

「あの…なんで分かったんですか?」

「だって、美佳さん、直ぐ顔に出るんだもの」

「そ、そう…です」

その一言に思わず、俯く。

 

まさか、顔に出ているとは・・・。

もしかして夫にも、見透かされているのでは?

一瞬、そんな思いが脳裏を過ったものの、今はそのような事を不安がっている場合ではない。

慌てて、心の中に渦巻く不安を振り払いつつも、私は何とか問いに答えようと口を開く。