「あの…実は相談したいことがありまして…」
「どんなことかしら?」
そして勇気を振り絞り、自らの悩みを打ち明けた。
その後、私から夫の不倫疑惑の話を聞いた安奈さんは暫く黙り込む。
それから一分程が経過しただろうか?
安奈さんが言葉を選ぶように、ゆっくりと話し出す。
「要するに、身辺調査をしたらいいか悪いかを迷っているのね?」
「その通りです。ただ身辺調査するという事は、夫の愛情を疑う事になりますし…」
「だからといって、このままだと不安が増すだけで何も解決しないわよね?」
「はい…だから悩んでいるんです。どうするべきかを…」
「うん、その気持ちは分からなくもないわ。私もそんな不安を抱いた事があったから」
彼女は憂鬱げに微笑む。
きっと、安奈さんもその時は、かなり悩み苦しんだに違いない。
それは表情を見れば、明らかだった。
それにしても彼女は一体どうやって、その状況を乗り越えたのだろう?
「安奈さんは、その時、どうやって、その不安を解消したんですか?」
「私の場合は悩んだ末、探偵さんを雇って浮気調査してもらったわ。そうしないと私自身の心が持たなかったし、ハッキリさせた方がお互いの為になるから」
「お互いの為ですか…。確かにそうですよね」
その言葉は十分に納得できるものだった。
そして…私の中で、取るべき道が明確になる。
正直、相談して良かったと思った…。
こうして、ママ会は恙無(つつがな)く終了し、私は改めて早苗さんに相談を持ちかけた。
「早苗さん、少し相談があるのだけど…」
「はい、何でしょうか奥様?」
「実は例の件のことなんだけど…」
「例の件…あ、旦那様のことですね?」
彼女にそう問われ、無言で頷く。