NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.1~結婚記念日なのに~

「私、幸せになるわ」

理想的な結婚をしたのに幸せを感じないと漏らす妻、彼女がそう感じる理由とは。

 


 

「今日は役員の食事会があるから遅くなる」

「でも今日は…」

「ん? 今、何か言ったか?」

夫である翔平にそう強い口調で告げられ、私は「何でもありません」と反論もできないまま引き下がる。

 

(今日は結婚記念日なのに、また仕事を優先するのね。)

結婚してから、もう3年になるけど何時もこうだ。

最近の彼は私たちの事よりも、仕事を優先する。

そんな彼に対して過去に何度か反論したことはあるが、その度に翔平は威圧的に言った。

「異論は許さん。お前は黙って私の言う事を聞いていればいいんだ」・・・と。

 

(何でこんな事になったんだろう?)

結婚して一児の母となり、それなりの年月を共に過ごしてきたのに日に日に状況は悪化している。

本当にどうしてこんな事になってしまったのか…。

そんな風に思い悩む日々が続く…。

 

今から5年前…。

彼と結婚に至るきっかけは名古屋市内で開催された婚活パーティだった。

33歳という年齢だったこともあり、私は少し焦りを感じていたのだろう。

当時、友人という友人がどんどん結婚していったため、私だけが取り残されているような、そんな危機感があった。

 

そういったこともあり正直、気乗りはしなかったものの現在、付き合っている男性も居なかったため、婚活パーティに応募することにしたのだが…。

(婚活パーティというから意外と直ぐ出会いがあると思ってたけど、案外そうでもないのね?)

 

とんとん拍子に出会える。

そんな上手い話など、あるはずもない。

婚活パーティといえども、きっかけを自分で掴まなければならないのだから。

安易に考えすぎていたのかな?

そんな思いを懐きながら私はその後も、名古屋市内で開催されている婚活パーティへと足を運ぶ。