NOVEL

【錦の女】vol.2 ~RedROSE~

職歴なしの30歳、シングルマザーになってしまった玲子。

ママと出会い、錦の街で生きる事を決めた。

我が子と共に生きる為には、ただの世間知らずではいられない。

それがリナの始まり!

 


 前回▶【錦の女】vol.1~「リナ」という名まえ~

 

玲子が勤めるラウンジ【RedROSE】は、錦三丁目の大通りの横を抜けた所にある。

バブル期には夜の街に咲く『赤い薔薇』と称されて人気を博したホステスであった、しょーこママが独立して【RedROSE】を開いた。

この付近では老舗のラウンジだった。

 

独立前からの客も多く客の年齢層は割と高いし、太い。

その紹介で訪れた客も顧客となることが多く、今でも繁盛している。

在籍している女性の質も高いと評判で、他の店から移籍を希望する女性の大体は顧客を連れて入店する為、客層の広がりを見せていた。

 

玲子が【RedROSE】で働かせてもらうようになり、1年になる。

ホステスの入れ替わりが激しいわけではないが、最近は働き始めた当初よりやりにくいと感じる事が増えてきていた。

 

「リナちゃん。おはよう!」

 

店が開くのは夜の19時だが玲子は早めに出勤して、店の準備を手伝う。

誰に頼まれた訳でもなく、時給が発生する訳でもないが、自分を雇ってくれた店への気持ちとして、玲子が勝手にやっている事だった。

 

そして挨拶は「おはよう」。

それにもすっかり慣れ、年齢不詳の美人ママの顔を見れば『今日も頑張ろう』と思えた。

雇われボーイの川内君と共にテーブルセットを用意していると、開店の時間が迫ってきているようにホステス達の声が聞こえてくる。

よく言えば賑やかな…悪く言えばキンキンした声。

玲子の顔が少し引きつり、大きなため息をつきたくなる。

 

―今日は開店と共に出勤かぁ…―

入店して3カ月なのに、大きな顔をしているレイラとその取り巻きだった。

 

「みんな、おはよう」

しょーこママは、どんな女子にも分け隔てなく声を掛ける。

「・・・ざいまーす・・・!!」