NOVEL

2番目の女 vol.7 〜既読にならない週末〜

結婚して子供を産んだ友達と話をしていると「好き」がわからなくなったという話をよく聞く。

好き同士で結ばれた2人なのに、なぜ時が流れるに連れて「好き」が薄れていくのだろうか。

いつの間にか、当たり前のような存在になるのだろうか。そんなこと、結婚どころか彼氏すらいない私には理解することなんてできないだろうけど。

でも、結婚って運命の相手と結ばれる幸せなものなんでしょ?

だったら、私はきちんと「好き」な人と結ばれたい。

そして、何年経っても「愛してる」と心から言えるような人と、私は結婚したい。

 


前回:2番目の女 vol.6 〜既読にならない週末〜

 

森田さんとデートをした次の日、出社すると後輩がすぐさま駆け寄ってきた。

 

「向井さん!大ちゃんどうでした?」

「凄く良い人だった」

 

キラキラした目で話を聞く後輩に言葉を返すと、嬉しそうに私の手を握ってくる。

 

「やっぱり向井さんと相性合うと思ったんですよ、付き合います?」

 

まだ若いからなのか、話を進めるのが早い。そう思いながら、私は後輩を宥める。

 

「次会う約束しただけだから」

 

そう言って自分のデスクへと向かう私を見て後輩は「何かあったら相談してくださいね」と嬉しそうに言って、自分のデスクへと戻って行った。

後輩がいなくなった後で携帯を開くと、LINEのトーク履歴の一番上には「森田大輔」の文字。そして「また会えるの楽しみにしていますね」と森田さんのメッセージで終わっていた。

 

あの日、森田さんと別れて家に帰った後も途切れなかったLINEのメッセージ。それを見返すだけで、思わず頬が緩む。まるで、初恋を経験した高校生のような気分だ。それくらい、森田さんとの関係は私にとって新鮮だった。

私が森田さんに対しての気持ちに気付くのは時間の問題だった。気付いたら、好きだと自覚していた。だけど、相手は歳下。どうアピールして良いかわからなかった。

そんな中、森田さんからデートのお誘いが届いた。

 

「ちょっとお節介な取引先の人から水族館のチケットもらったんですけど、一緒にどうですか?笑」

 

私の答えは一択。すぐさま「行きます」と返事を返した。

 

 

「向井さん、最近可愛くなりました?」

 

森田さんと2回目のデートの前日。森田さんを紹介してくれた後輩から急に話しかけられた。「特に何もしてないけど」と答えると、ニヤニヤしながら後輩は言う。

 

「恋する乙女は可愛いって言いますし?また大ちゃんと会うんですか?」

 

空いている私の隣の椅子に腰掛けて詰め寄る後輩。今までだったら、ここまで恋愛に口出されるのは嫌だった。だけど、今回は別。今までプライド高く強がってばかりだった私だが、今回ばかりは後輩に相談することにした。