NOVEL

2番目の女 vol.7 〜既読にならない週末〜

 

「じゃあ明日、よろしくお願いします」

 

丁寧な口調で電話を切る森田さん。会話をしたのはたった数十秒。それだけなのに、電話を切った後の空白の時間が寂しく感じる。1人で過ごす部屋ってこんなに静かだったっけ。

明日、またすぐ会えるじゃん。

そう自分に言い聞かせた私は準備を済ませ、早めに布団に入って眠りについた。

 

 

そして迎えたデート当日。後輩が選んでくれたカジュアルな服装で森田さんが来るのを待つ。そして待ち合わせ時間の15分前。初デートの日とはまた変わった服装で現れる森田さん。私を見た森田さんは笑顔で言った。

 

「その服、俺好きです」

心なしか、頬が赤くなっているような気がした。心の中で後輩にお礼を言う。そして、私に向かって手を出す森田さん。

 

「今日は、手をつないで行きませんか?」

 

私がそれを断る理由なんてない。森田さんの言葉に頷いた私はその手を握る。

 

「あと、下の名前で呼んでほしいです。友梨さん」

 

手をつないだと同時に述べられる言葉。少し甘えたような口調で述べる姿に、歳下特有の可愛らしさを感じる。だけど、下の名前で男性を呼ぶのなんていつぶりだろう。最後に下の名前で呼んだのは、翔太だったかもしれない。

そんなことを考えながら、小さく呟く。「大輔、くん」と。流石に呼び捨ては私にはハードルが高かった。だからといって、歳下に「さん」と呼ぶのは違和感があった。そこで私はくん付けで呼ぶことにする。

 

「大ちゃんって呼ばれることばかりなんで、変な感じです」

 

目を合わせずに話す大輔くんを見ると、ほんのり耳が赤くなっていることがわかる。そんな姿を見ていると、なぜか悪戯心が芽生えた。

 

「もう、敬語じゃなくて良いよ」

 

不意にタメ口で話しかけると、驚いた表情をした大輔くんと目が合った。「ずるいわ、友梨さんって」と苦笑いをする大輔くん。表情と声色から恥ずかしがっていることがわかる。普段とは違う大輔くんを見て、私は確信した。

 

私、大輔くんが好きだ。大輔くんと結婚したい。

 

 

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 幸せになる近道は、新しい恋を探すことなのかもしれない。大輔くんとのデートでドキドキが止まらない、そんな友梨に待っている未来はいかに・・・?