2年半ぶりの再会。
北海道の雪山での悲惨な事故。
たった一度の縁。
けれどお互いにどこかでもう一度会える気がしていた。
それを必然と呼ぶのかは分からない。
ただこの再会はお互いの人生の中で選択し続けた結果。
不思議な縁を感じてどちらともなく視線を交わして微笑み合った。
ポォン。
エレベーターが1Fに到着する。
ドアが開くと待ち構えていた支配人が進み出た。
「瑞穂さま、お着替えをご用意いたしております」
沙耶香の方へも向き直して頭を下げた。
「宮田さまもこちらへどうぞ」
「ありがとう」
沙耶香を抱きとめた際、瑞穂の洋服に赤い色が移っていた。
「汚してしまったわね。ごめんなさい」
真っ白なドレスが汚れたことが申し訳なくて頭を下げる。
「沙耶香のせいじゃないわ。ね、呼び捨てで構わないかしら?」
「もちろん」
「嬉しい。私も瑞穂って呼んでね」
まるで何年も一緒にいたような気がする。
沙耶香はようやく澄んだ空のように晴ればれとした笑顔を浮かべた。
「お待たせ」
用意された着替えを済ませて、ティーラウンジに来た。
「遅いよ、瑞穂さん」
待っていた透が笑みを浮かべて返す。
「こちら宮田沙耶香さん。で、こちら永井透くん」
「くん呼びはひどいな」
透が拗ねたように口を尖らせる。
「ふふ、はじめまして」
「こちらこそ、どうぞよろしく」