子供たちとの生活を守るために、此処に根を張るしかない!
レイラは意外過ぎるリナの反応に、言葉を詰まらせていたが「私今日同伴なんで」と告げると店を後にした。
誰もいなくなった控室にリナは座り込み、どれも聞いたことのあるブランドの服を一枚一枚出していく。
その中に、ボディラインが強調された
黄色いロングドレスが入っていた。
―黄色いパンジーの色…―
リナはフリマアプリで購入した中古のドレスを用意して出勤したが、レイラのドレスに着替え始めた。
もう、何も恐れる事も恥る事もない。
此処でリナとして生きると決めたのだ。
『私は逃げない。錦の街で生きていく覚悟をもう一度…。この悔しさをバネにして!』
他のホステスたちが出勤してきた時に、誰もがリナの変貌に驚きの声を上げたが、ママは何も言わなかった。
同伴で再度店に出勤してきたレイラも、ドレスについて吹聴する素振りはない。
待機の時間を使ってリナはフリマアプリやディスカウントネットショップをチェックし、高級な化粧品を安価で注文していく。
『夜の街』では自分が商品なのだ。
例えそれが、薬で咲いているだけの花でも構わない。
全てが張りぼてでも構わない。
玲子はその張りぼての男に貢ぎ、幸せな時間を味わい、そして当たり前だと信じていたモノを失った。
『あなたが嫌い!』
そう言い放ったレイラの目は、真剣だった。
『我儘な自分を怒ってくれたユウ』
に近いものを少しだけ感じられたから、何かが全て吹っ切れたような気がしたのかもしれない。
―生きる為なら、何でもしてやる!!―
食い散らかされる方ではなく、今度は食い散らかす方になったとしても構わない。
護るべきものを、見失わないうちは…。
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子供たちのために夜の街で生き抜くと決意したリナ。そんな中、【RedROSE】に相応しくない風貌の女が客としてやって来た。