NOVEL

女の顔に化粧をするとvol.5 ~嫉妬~

先週から今週にかけてビジネスもプライベートもうまくいっていないと落ち込む加奈恵。

一方、加奈恵の部下・島田は加奈恵に対してある想いを胸に秘めていた。

その島田が抱く想いとは!?

 


前回▶女の顔に化粧をするとvol.4 ~衝撃~

はじめから読む▶女の顔に化粧をするとvol.1 ~思いがけない知らせ~

 

 

玄関につく。少し入った先にある冷蔵庫を開ける。タッパーをよけて、缶チューハイを2缶、隙間に挟み込む。コンビニの袋はそのまま捨ててしまった。ジャケットを脱ぎ、無造作にハンガーにかける。あまり細かい音は聞こえてこない。ブラウスを脱ぎ、洗濯籠へ投げ捨てる。残りの服も全て同じように脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。ただシャワーを垂れ流して、水滴が身体を流れるまま、暫く目を瞑っていた。

 

シャワーから上がって、身体を拭く。何も考えたくない。ソファにそのままもたれかかり、缶チューハイのプルタブを開ける。ただずっと、テレビの音を流してぼんやりしている。テレビの画面はしきりに移り変わっているが、私の目に見えているのは、島田と仲良さそうに話す雅の姿のみだった。

 

声を上げる気にもならない。よくわからない。先週から今週にかけて、私はあまりにもうまくいっていない。仕事も人生も。一気に何もなくなってしまった。

 

もうすぐ、いつも雅の帰ってくる時間だ。

 

島田真美

 

「つもりではだめです。一つ一つは小さな金額に見えるかもしれませんが、積もれば金額は大きくなります。もう一度、計算しなおして提出して」

 

「わかりました」

 

指摘されてから手帳へ目を走らせる。確かに少し確認が甘かったかもしれない。課長に指摘されることはあらかじめ想定して潰したはずだったが。

 

(絶対に見返す・・・)

 

手帳に書くペンを握る手に力が入る。イライラする。その顔を見るだけで。私の顔を見ても、ただ淡々と仕事を進めるこの女が気に入らない。

 

「それでは、本日の朝礼を終わります。本日もよろしくお願いいたします」

 

「よろしくお願います」

 

ほぼ定型文のような挨拶を終え、席に着いた。私たちのオフィスは、ビールのワンフロアをくり抜いて、ウォールレスな環境の中に机やいすが並べられている。朝買ってきたコーヒーを飲みながらパソコンを開く。