NOVEL

婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.4〜別れて気づいた本当の気持ち。彼以上が見つからない〜

先輩と別れた帰りの電車で見かけた婚活パーティの広告。

今までは全く目に入っていなかったのに、今日はその広告が気になって仕方なかった。

 


前回▶婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.3〜格下女への敗北〜

はじめから読む▶婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.1~彼との出会い~

 

その理由は斗真に会ったからに違いない。

今までは、斗真と結婚できると信じていた。だから、他の人との結婚なんて眼中になかったのだ。

 

だけど、斗真が別の女と付き合っていることを知り、私は捨てられたことがわかった。しかも、どう考えたって私よりも下の女。斗真に散々言われた私だったけど、今でも自分の方が優れていると信じて止まなかった。

 

私だったら、斗真より良い男性と結婚することができる。

 

斗真は浮気する最低な男だったではないか。私が求めているのは、ちゃんと私のことだけを見てくれる人。私はまだ若いし可愛いし、仕事もそれなりにできる。そんな私と結婚したいと思う男性なんて、数え切れないほどいるに違いない。

 

自信に満ち溢れた私は電車で見た婚活パーティに参加することを決めた。

 

婚活パーティ当日。会場は、名古屋駅近くのホテル。婚活パーティに参加するのは、今回が初めてだ。会場に訪れると、周りはスーツを着た男性とフォーマルなドレスに身を包んだ女性ばかり。私もこの日のために、ドレスを買っておいて良かった。

 

私は男性陣よりも先に、ライバルとなる女性陣を確認した。見てみると、私のように20代前半と見られる女性はほとんどいない。20代後半から30代の女性ばかりだったのだ。しかも、来ているドレスはブルーやグリーンといった地味目な色がほとんど。

 

それに比べて私が着ているのは、女性らしいピンクのドレス。パッと見た限り、私のようにピンクのドレスを着ている女性はいなかった。

 

これは勝てる。

 

私は確信した。どう考えても、私が一番可愛い。私から何も動かなくたって、アプローチしてくれる男性はたくさんいると思った。

 

続いて男性陣をチェック。広告の通り、収入が高そうな男性ばかりだ。普通のサラリーマンが着ているような既製品のスーツを着ている人などいない。誰もがオーダーメイドと見られるおしゃれなスーツを着ていた。

 

斗真よりも優れた人が、こんなにたくさんいるじゃないか。

 

私はさっさと頭を切り替えて、男性陣にアプローチを仕掛けようと思った。私から声をかけたら、どんな男性だってコロッと堕ちるはず。

 

 

いよいよ婚活パーティが始まり、参加者が動き出す。積極的にアプローチをかける人もいれば、会場を見渡して様子をうかがっている人もいる。動き方は千差万別だ。

 

私は良い男を見つけようと、辺りを見渡した。だけど、私は動き出すことができない。なぜなら、タイプの男性がいないからだ。

 

会場に入ったばかりの頃は、あんなにキラキラと見えていた男性陣。だけど良く見ると、顔がタイプではなかったり、身長が低かったり、私のタイプとかけ離れていた。いくら辺りを見渡しても、斗真以上の男性なんていない。

 

「あの…」

 

どうしようか戸惑っていると、後ろから急に声をかけられる。振り返ると、私よりも身長が低く、決して格好良いとはいえない男性が立っていた。