私は初めて真理子さんに出会った時のように意を決して話しかけた。
「ねぇ真理子さん!急なんだけど今日2人でお昼でもどう?」
真理子さんは少し驚いた表情を見せたが、
「それなら、よければうちに遊びに来て」
と自宅に招待してくれた。
お昼頃、真理子さんの部屋を訪れた。
真理子さんの住む4階に初めてエレベーターで降りたが、私の住む10階とは別のマンションのように作りが違い、フロア内の住戸数はとても多く感じられた。
インターホンを押すと真理子さんが出迎えてくれた。
そして私たちはお昼を食べながら、近況などを語り合った。
そんな中で私は、ママ友グループで起きたベビーシャワーのトラブルや日々のやりとりで感じた違和感を真理子さんに相談した。
すると真理子さんは
「やっぱり。相変わらず変わりないのね」
と言って自分の過去を話し出した。
「私も去年あたりまでは、みんなとランチに行ったり杜人も同じダンススクールに通ったり仲良くやっていたの。でも発表会で杜人がセンターで踊ることになった途端、急に周りが冷たくなってね・・・。私も徐々に距離を置くようになってしまったの」
今では会釈程度は交わすものの、なるべくママ達と顔を合わせることは避けたいため、
幼稚園バスへの送り出しは旦那さんにお願いしているそうだ。
「女子校と同じような世界よ。このマンションのママ達はみんななんだかんだで上層階、中層階、下層階、どこに住んでいるかでカースト分けして考えてる。暮らしやすくて気に入って住んでいるこの4階の部屋だって、あの人達から見れば低カースト。
恵美梨さんも3階に住んでいるでしょ。だから標的になっちゃっただけ。結局自分が上にいるために攻撃するのは誰でもいいの。低いカーストから順番に潰されるだけよ」
真理子さんの言葉が正しければ私が標的になるのも時間の問題かもしれない。
健太の発表会を控える今、私の不安はますます膨らむ一方だった。
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