NOVEL

マザーズカースト vol.3~プレッシャー~

待ちに待った金曜日。今日は健太を連れて初めてダンスのレッスンに参加する日だった。

健太に幼稚園のみんなと一緒だと伝えると、とてもウキウキした様子で幼稚園の制服からお着替えをした。

 


前回:マザーズカースト vol.2 ~すべての始まり~

はじめから読む:マザーズカースト vol.1~新たな土地へ~

 

-初めてのダンススタジオ-

 

千奈美さんの気遣いで、私と健太は千奈美さんの車で一緒にスタジオへ向かった。

みんなは半年前くらいからスタジオのオープンと同時に入会して通い出したらしい。

スタジオに着くと、新しいだけあって内装も海外のレッスンスタジオのようなビタミンカラーで統一されたおしゃれな雰囲気だった。

 

 

「はじめまして。講師の直人と申します。今日はみんな夏休み明けだから基礎のリズム取りからゆっくり進めていくからね。健太くん今日はよろしくね!」

講師の直人先生は明るい挨拶で私たちを出迎えてくれた。

 

直人先生は有名アーティストのバックダンサーや振付師として活動し、数々の賞を受賞していると聞いていた。

そのため敷居が高いのでは?と少し緊張していたが、レッスンが始まってみると教え方がとても丁寧で安心することができた。

何よりも健太が初めての場所でのびのびと動く姿がとても楽しそうで嬉しかった。

 

スタジオの端にある見学スペースで見守りながら他のママさん達が発表会のことを教えてくれた。

10月末のハロウィンに合わせた発表会に向けてこれから振り付けを習うそうだ。

前回の発表会の動画を見せてもらうとみんなでお揃いの衣装を着て踊る姿はとてもかわいく、健太にもやらせてあげたいと思った。

 

すると動画にはよく見てみると、杜人くんが映っていた。

「あれ?杜人くんも一緒に通ってたんですか?」

「あ〜杜人くん最近は来なくなっちゃったね。前回の発表会までは来てたんだけど、お忙しいのかしら」

一番前の真ん中でイキイキと踊る杜人くんがとても明るく元気に見えた。

(今度、真理子さんに話を聞いてみよう)

そんなことを考えているうちに、あっという間にレッスンが終わった。

レッスンから帰ってきた健太はとても満足した表情で汗びっしょりだった。

タオルで汗を拭き、Tシャツを替えている間も踊っていた曲を歌い、かなりご機嫌な様子だ。

 

私はその場で入会を申し込み、直人先生に改めてご挨拶した。

「子供の成長にはママさん達皆さんのサポートが不可欠なので是非、今度の発表会もよろしくお願いします!」

直人先生はそう挨拶して私達を見送った。