NOVEL

マザーズカースト vol.2~すべての始まり~

9月に入ると健太の幼稚園の通園が始まった。

入園手続きの時に「お宅のマンションから通園するお子さんが結構いらっしゃいますよ」と担任の先生から聞いていたが、バス停に着くと10組ほどの親子がいて、その人数多さに驚いた。

 


前回:マザーズカースト vol.1~新たな土地へ~

 

-幼稚園の始まり-

 

そして何よりも驚いたのがママさんたちの身なりだった。

朝早くにもかかわらず、全員がしっかりとメイクをして靴やアクセサリーにまで気が配られている。

 

 

(超高層マンションに住む人って違うなぁ)

初日ということもあり少しは身なりに気を遣って家を出てきたので恥をかかずに済んだものの、今までの保育園への送り迎えとは違うものだと悟った。

 

見かけたことのない私たち親子が近づくと、皆がこちらを気にする視線を感じる。

「おはようございます。今月から4歳の健太がお世話になります斉藤と申します。よろしくお願いします」

そう挨拶すると、集団の真ん中にいた1人が話しかけてくる。

「おはようございます。遠藤千奈美です。よろしく。先日エントランスでお会いしたわよね。これから仲良くしましょうね」

 

引っ越し当日にエントランスで会った女性だった。

まさか同じ幼稚園のママさんだったとは少し驚きだった。

そして千奈美さんは今日も相変わらず完璧なメイクとファッションで、他のママさん達とは一線を画したオーラを放っていた。

 

「今日のお昼頃、ママ達みんなでランチに行くんだけどよければご一緒にどう?」

「是非!行かせていただきます」

 

そんな会話をしているとスクールバスの時間が近づき、杜人くんがエレベーターを降りてくるのが見えた。

 

今日の杜人くんは夏休み明けで少し不安なのだろうか。

少し元気がなく見える。

そして杜人くんは珍しく真理子さんではなくスーツ姿の旦那さんに連れられていた。

「杜人くんだ!おはよう!」

健太が挨拶すると周りの大人たちは少し驚いた表情をしていた。

私はその一瞬の違和感を感じ取った。

 

スクールバスがちょうど到着し、子供たちが順に乗り込んでいく。

大人達は我が子に手を振って見送ると

「じゃぁ皆さん、お昼の12時前にエントランスラウンジに集合しましょう」

という千奈美さんの一声で、集団はサッと散っていった。

皆がエレベーターホールへ向かう中、杜人くんパパに声を掛けようとしたところ

1人だけそのまま外へと歩いて行ってしまった。