NOVEL

【最終回】マザーズカースト vol.10~もう、惑わされない~

幼稚園の送り出しに千奈美さんと佳奈ちゃんが来ていない日が目立つようになった。

ちょうど冬を迎えようとしている冷え込む季節で体調を崩してしまったのかなぁと心配に思い、千奈美さんに連絡した。

 


前回:マザーズカースト vol.9~ぞんざいな仕打ち~

はじめから読む:マザーズカースト vol.1~新たな土地へ~

 

-仲間外れ-

 

「佳奈がどうしても幼稚園に行きたくないってぐずってしまうようになってねぇ」

と千奈美さんは頭を抱えている様子だった。

健太と佳奈ちゃんは最近一緒に遊ぶ機会が増えて、幼稚園でも同じクラスで仲良しだったのでそれからは毎朝、佳奈ちゃんの家まで健太と迎えに行き一緒にバスの送り出しをするようになった。

 

そんなある日、お昼に幼稚園から連絡があった。

「健太くん、お熱があるようなのでお迎えに来られますでしょうか?」

迎えに行くと健太は少々微熱がある程度で、本人も元気そうだったため安心した。

健太の荷物を取りに教室に向かう途中、園庭の隅で座り込む佳奈ちゃんが見えた。

 

「佳奈ちゃんこんにちは」

そう声をかけると佳奈ちゃんは元気がなく、今にも泣き出しそうな表情をしていた。

「どうしたの?どこか体調悪い?」

すると佳奈ちゃんは

「健太くんしか遊んでくれないのに、健太くんお熱でバイバイしちゃったから佳奈ちゃん1人なの」

と寂しそうに言った。

「他のお友達は?」

「他のお友達は、佳奈と遊んじゃいけないって。佳奈と遊ぶとママが怒るからダメなの」

 

 

その時私は、ママ友同士のトラブルが子供にまで影響していることを悟った。

これではさすがに子供達が可哀想だ。

 

私は帰宅後、すぐに千奈美さんに報告した。

そして私達はなんとかママ同士の関係を改善できるよう、ママ友たちを避けて不参加としていたマンションのクリスマスパーティーに参加することにした。

 

-クリスマスパーティー-

 

飾り付けの彩られたプライベートパークにはマンションの住民たち、そして子供用テーブルの近くを陣取るようにママ友グループ達が集まっていた。

 

私と千奈美さん、真理子さん、恵美梨さんの4人は意を決してママ友グループのテーブルに向かい

「少しお話よろしいですか?」

と声を掛けた。

そして幼稚園で子供同士の仲間外れが起きていることを正直にママ友グループに話した。

すると小百合さん達を除くほとんどのママ達は子供がそこまで親を見て影響されていることにショックを受けた様子で、

「私達がギクシャクしているせいで子供たちを傷つけてしまっていたのね」

と私達に歩み寄ってくれた。

それからそれぞれ我が子を呼び寄せると

「佳奈ちゃんや健太くん、みんなで仲良く遊びましょうね」

と声を掛けて、親子揃ってみんなで遊ぶこととなった。