「真鍋さんとは、最近どうなんですか？」
「ん～、どうなんだろうねぇ」
意外なような、想像通りのような、なんとも言えない既視感のある答えだった。というよりも、私が望んでいた言葉だったのかもしれない。
雅さんの話によれば、大きな喧嘩をしたわけでもなく、いつも普通に時間が過ぎているとのことだった。何事もないが、何もなさすぎるという部分がという話だった。
（贅沢な話だ）
私には望んでも手に入れられなかった平穏だ。今、高いリスクを冒すことでようやく過ごしている時間だ。これを、真鍋課長は、当たり前のものとして享受しているのだ。
◆
「もしよければ、また遊びませんか？」
深い意味はなかった。ただ、雅さんのはけ口になれればよいと思った。真鍋課長を見返せればよいと思った。この人との時間を、私は少しでも増やしたかった。
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加奈恵は自身の部下・島田と一緒にいた、帰って来たばかりの雅に声を掛けるも生返事しか返ってこなかった。その翌日彼女が身支度をしていると、目の前が揺れて気が遠のくのを感じよろけてソファに座り込んでしまう。