紙にはこうあった。
「お久しぶりです。驚いていただけましたか。来週のお店の定休日、あの公園でお待ちしております。時間は19時ごろでいかがでしょうか」
鈴木は私に気づいていた。気づいていながら、何知らぬ顔で大野の接待をし、酒を飲んだ。鈴木をみて動揺する私にも気づいていたのだろうか。しばらく、文字の書かれた紙を眺めたのちに、また客間の掃除を再開した。紙の内容が何であろうとまずは掃除だ。すべてを綺麗にして、いらないものは捨ててしまおう。世の中はわかりやすいものでは出来ていない。だからこそ、料亭や花街、そのほか交友の場が存在できている。目に見えないものの不確かさに手を伸ばしてばかりもいられないのだ。
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指定された場所へ行くと私の元婚約者・鈴木ともう一人、見知らぬ女性が待っていた。そして私は二人からある相談を持ち掛けられる。