それは嘘ではなかった。
愛もお金も手に入れたい。それは楽して手に入れたいわけでなく、男に貢がせて自分の店を持ちたいわけでもなく、自分ができる最大限のことを提供してその対価として手に入れたい。
「聞いてくれてありがとう。なんだかより一層やりたいことが固まった気がする。あ、そういえば、この移動時間にサロンの物件決めなきゃいけなかったんだった」
「あぁ、だから最初メール見てたのに、おれが邪魔した?」
「そうよ」
軽く睨んで怒ったフリをしたが、
「でも、楽しかったし刺激になったから物件決めるよりいい時間が過ごせたわ」
と言うと、男は端正な顔をくしゃりと歪めて人懐こい笑顔で笑った。
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