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【エキスパートが薦める高級ワイン】VOL.1 高級ワインには理由がある~フランス高級ワイン~

その雫が人々を魅了するワイン。

赤、白、ロゼに留まらず、ブドウの品種や産地により多様性を生み出している今日のワインは日々の生活に必須の存在だ。

この記事を読まれている方の中にもワインを好む方は数多くいらっしゃるであろう。

今回お伝えしたいのは高級ワイン。中でも歴史ある産地、フランスのボトルをご紹介しよう。

 

ワインの価格は何で決まるか

「高級」なワインは希少価値があったりクオリティが高く評価されている。そのような商品は多くの場合価格が高くなるので、「高級ワイン」は価格が高いもの、とおおよそ結び付けてもよいだろう。

では、そもそもワインの価格はどのように決まるのであろうか。

ワインづくりは農業だ。ブドウが熟すまで個体差があることはご承知の通りである。

同じエリアにあるものでも、一房ずつ見ていくとその熟度は異なる。そのため収穫時の作業性も価格に大きく関わる。

効率を重視する場合にはそのエリア全体を一度に収穫してしまうだろう。生産者の立場から見ると、スケジュールが組みやすくエリアごとに作業を終えることができ非常に効率的だ。ただし効率重視で採られたブドウの中にはそこそこ熟しているものもあれば完熟のものもあるため品質に影響しやすい。

一方でこだわって収穫する場合には、各生産者が決めた完熟度を満たすまでは収穫を行なわない。同じエリアでも今日収穫できるのは僅かかもしれず、また翌日に同じエリアを確認することになる。もちろん後者の方がクオリティは高くなるため、ワインの価格に反映されるのである。

 

次に取引と運び方が挙げられる。

インポーターが直接現地生産者と交渉して輸入し自社で販売するのであればシンプルだが、間に現地の交渉代理人、輸出業者、さらの国内の商社が入ってくると都度マージンが発生する。その分価格がプラスされていくのは必然的だ。

運び方としては常温輸送やリーファーコンテナといわれる冷蔵輸送がある。

大量生産低価格のものであれば常温輸送することが多いと思われるが、ハイエンドなワインは品質を保つために冷蔵輸送になりやすい。

コンテナをそのまま載せるか、冷蔵状態を保って乗せるかということでも費用が変わってくる。取引条件により引渡価格や海上運賃、保険料等がかかりワインの販売価格に乗せられていく。それらを加味してワインの価格を考える必要があるだろう。

そして関税。

ご存知の通り関税は国によって異なるが、ヨーロッパワインに関しては日欧EPAが締結されたことにより、以前にも増して親しみやすくなった。

これらの要因に加え、味の評価、需要と供給のバランスが影響されていくのがワインの価格。

しかしながらそのワケを加味して選ぶことで、よりご自身が納得する高級ワインを口にすることができるだろう。

 

さっそくフランスの高級ワインを見ていこう。

 

ペトリュス(Petrus

ソムリエにも一目置かれる存在のワイン、ペトリュス。

ボルドーという地域は元々貴族が興した歴史的背景から大規模なシャトーが一般的であるのだが、ペトリュスのポムロール地区は小規模なシャトーが多い。11.4haの畑で育つブドウを醸造し、力強さや腐葉土の熟成香を存分に感じられる味わいだ。

アッサンブラージュ(ブレンド)せずにメルローのみで作られるのもその理由の一つであろう。メルローに好ましいねっとりとした「ブラッククレイ」の粘土質土壌が大きく影響している。

特に注目すべきは2018年のペトリュス。

細かく区画を分け、ブドウの熟度に応じて収穫。徹底した選別によりえらび抜かれたブドウのみで作られたワインである。力強いタンニンのエネルギーと濃厚な果実味、厚みのあるスタイル。熟度にフレッシュ感を兼ね備え、有名なワイン評論家に「神話の象徴」と表現させたほどのもはやワインの域を超える一品だ。

 

シャトー・ル・パン(Chateau le Pin

ボルドーで人気の赤ワインであるこちらはペトリュスと同様にボルドー右岸のシンデレラワイン。

その印象は対照的でシャトー・ル・パンは繊細さ、やわらかさなどエレガントな表現がなされる。メルローとカベルネ・フランをアッサンブラージュし、上品さを見事に表現している。

すべて手摘みの収穫で特徴はマロラクティック醗酵。酸をまろやかに変化させる発酵方法だ。約18か月の熟成を経てボトリングされる。

生産量は毎年約7000本。その希少性もあって高価なワインに位置付けられている。

ヴィンテージによるが40万円ほど。残念なことに偽造ワインもあるといわれ、信頼できるルートからの入手を心がけていただきたい。

ちなみにル・パン(le pin)はフランス語で松の木。ワイナリーの近くにある松の木から名付けられたのだとか。

小話もワインの味わいを高めてくれるだろう。

 

サロン(Salon

「宇宙」を感じると言わしめたほどのシャンパーニュ。

このワインの特徴は何といっても突出したこだわり。満足のいくブドウが収穫された年にしか作らないという点である。

1905年に最初のヴィンテージが出されてからリリース数は40ほど。圧倒的に少ないリリース数だ。そして他のシャンパーニュでは感じられないような奥深さにエレガントな力強さを持ち合わせている。

一般的にシャルドネは乳酸菌の作用で味に丸みをもたらす醗酵方法だが、サロンではこれを用いず時間をかけてブドウの魅力を引き出していく。最低でも10年の瓶内熟成を行なっているのが特徴だ。

 

意外にも生産を始めたのは毛皮商に就いていた人物。

シャンパーニュを好み、その魅力に憑りつかれた彼は世の中のシャンパーニュでは物足りず、至高を求めて自ら造ることにしたのがはじまり。

限られた土地で収穫した単一品種のブドウから長い年月をかけて作り出したシャンパーニュ、それがサロンなのである。

110万円を超えるものだが、そのこだわりと希少性からすれば納得の価格だろう。これを現地で飲んだワインバイヤーの言葉が忘れられない。

「味を表現する上で‘宇宙を感じる’という言葉の意味が初めてわかった」。

それくらいスケールが大きく、深く、静かに余韻を残すサロン。

是非あなたにもその味わいを堪能していただきたい。

 

グラン・エシェゾー(Grands Echezeaux

フランスワインを語るうえで欠かせないのがロマネ・コンティであろう。

ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村に位置する畑ロマネ・コンティは世界最高峰のワインを算出する特筆すべき場所だ。

中でもグラン・エシェゾーの代表的なドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティで造られるワインは完璧な地勢とたゆまぬ努力により生み出されている。

近年ではビオディナミ栽培で化学物質の不使用は勿論、自然の摂理・法則に則った農法を取り入れている。土壌にできるかぎり負担をかけないように馬による耕作を行うなど、他シャトーで容易に追随できるものではない。

グラン・エシェゾーはその名声をたしかに実感できるボトルであるが、さらに熟成してからその本質を感じられるのはロマネ・コンティだからこそ。

一般的なワインは年月を重ねるにつれ古酒の深みのある味わいへと変化していく。

しかしロマネ・コンティはフレッシュな香りを損ねることなく、果実味を十分に残しながら熟成していくのである。特に2000年以前のものが高値で取引されているのもそれ所以であろう。

人とワインを重ね合わせ、熟すことで魅力がより増していく…と思わずにはいられない。

 

 

2回では他欧州のワインを紹介するとともにニューワールドの魅力をお伝えしよう。

【エキスパートが薦める高級ワイン】VOL.2 欧州、そしてニューワールドワインの可能性」をお送りいたします。お楽しみに!