NOVEL

選ばれない女 vol.8~やっぱりわたしの目に狂いはなかった~

ドリンクを頼み、料理がくるのを待つ。

 

「ここのお店美味しいんですよ」

笑うとくしゃっとなる顔は、母性本能をくすぐられる人もいるだろう。

 

「ここは初めて来ました。普段からよく来られるんですか?」

「そうですね、単純に美味しいからっていうのもあるし、料理の勉強もさせてもらってます。あ、僕フランス料理のオーナーシェフしてるんですよ。〝エスポワール″っていうミシュランにも載った少々有名なお店なんですけど…知ってます?」

「え!この前食べに行きました!料理店のオーナーをされているとは知っていましたが。すごく良かったです」

「ありがとうございます」

思わぬ収穫に、愛沙は興奮した。

 

「今度、清水さんの作ったご飯、食べてみたいです」

「そうだね、でも、恥ずかしいなあ」

「プロが作るんですもん。絶対に美味しいですよ」

 

引き下がらない愛沙に、

「…いつかね」

と清水は曖昧に笑ってみせた。

 

 

Next:531日更新予定

結婚相談所で知り合った男性・清水と順調に交際を進める愛沙。だが、結婚に対する価値観を確認しあううちに意外な事実が判明する。