NOVEL

選ばれない女 vol.6~不本意な答え~

〝りと″からは、

 

〝めっちゃ美人ですね!びっくりしました!″

〝アプリしなくても彼氏できそうです″

と絶賛された。

 

―この人、いい感じじゃない?返信は遅めだけど…。

 

メッセージが遅い理由を、

〝仕事が忙しいから″

と最初に申告された。

 

だから、連絡が2日経ってもこないときは、モテるだろうし仕事も忙しいのだろう、と対して気に留めなかった。

 

〝今度お会いしませんか″

と連絡がきたとき、愛沙は密かに優越感を抱いた。

 

―わたしは多くの女性の中から選ばれたんだ―と。

 

〝りと″とは相変わらず連絡をとりながら、駒沢と2回目のデートを迎えた。

 

1回目のデートの後、駒沢から電話がきてデートの約束をした。

彼とは今仮交際中だ。

 

前回できなかったドライブをしようということになり、伊良湖岬を目指して名古屋市内を走っていた。

 

「今日も天気がいいね」

「本当ですね。絶好のドライブ日和ですね」

 

当たり障りのない会話をする。

窓の外から見える景色は、高層ビルばかりだ。

 

ぼんやり外を眺めていると、見覚えのある顔が目についた。

 

―あれ?あの人…〝りと″さん?

 

間違いない。

あそこまで端正な濃い顔はそうそういない。

車はタイミングよく赤信号で止まる。

 

―隣にいるのは誰だろう?

 

若いアナウンサー風の女性を連れている。

女性の腰に腕を回す〝りと″と女性は、笑顔で仲が良さそうに見えた。

どう見ても恋人の距離感だ。