プロフィールを書き終わり、辺りを見渡す。
男女合わせてざっと20名ほどだろうか。
大方の人はプロフィールを書いていたが、携帯を触っている人もいるし、中には文庫本を読んでいる人もいる。
開始までの時間を、それぞれ思い思いに過ごしていた。
愛沙はその間、参加者の中に目ぼしい男性がいないか観察していた。
そして、ある一人の男性に目を付けた。
―ま、わたしなら落とせるわ。
余裕の笑みをたたえながら、彼女はこの初戦に挑んだ。
静かな店内に、マイクを通して女性の声が響く。
「皆様、この度はお集まりくださりありがとうございます」
簡単な挨拶の後に、今回のパーティーの説明がされる。
このパーティーでは、1対1で5分間おしゃべりをしていくらしい。
着席しながら参加者全員と会話ができるようで、連絡先は自由に交換OK。
カップリングはしない。
「ドリンクはアルコールも含めて飲み放題ですので、ご自由にお申し付けください」
一通りの説明が終わり、男性達がそれぞれ女性の前の席に座る。
開始の合図がされた。
会場が話し声で騒がしくなる。
「は、初めまして」
目の前の男性は、寂しくなった頭髪を光らせながら上目遣いでこちらを見ていた。
一目見てこの人は違う、と思った。
相手から渡されたプロフィールも一応見るふりをした。
「な、中込さんはこういう場所、よく来られるんですか?」
蚊の鳴くような声で問われる。
「いえ、初めてです」
「わあああ、そうなんですね。こんなお綺麗な方、初めて見たので…」
「ありがとうございます」
愛沙は当然でしょ、と心の中でふんぞり返った。
その後は趣味や仕事の話を当たり障りなくする。
ビー
笛の音が鳴った。
どうやら席を交替する時間のようだ。