「ところで、その人が話にあった家政婦さんね。確か最初にこの公園で出会った時に美佳さんと一緒に居た人よね?」
「ええ、そうです」
その問いに答えた直後、早苗さんが間髪入れず安奈さんに向けて「本日は同伴を許していただきありがとうございます」と礼を言う。
そして歩き出してから約五分後…安奈さんの自宅へと到着する。
「ここが私の自宅です。どうぞお上がりになって」
「はい、お邪魔します」
私たちは安奈さんにそう告げられ、誘われるがまま彼女の自宅に足を踏み入れた。
「どうぞ、こちらへ」
「はい、ありがとうございます」
その後、家政婦に案内され、客室で待つこと数分後、安奈さんが姿を現す。
「ごめんなさい、少し待たせてしまったかしら?」
「いえ、そんなことないです」
こうして、ママ会が開催された。
「ママ会って初めてなので正直、緊張してます」
「あ、それは私もよ。ママ会なんて参加したことも開催したこともないしね」
「え、安奈さんもママ会に参加したことないんですか?」
客室内を見回しながら、安奈さんに問いかける。
「ええ、恥ずかしながら」
彼女は私の問いにやや申し訳なさそうに答えた。
それにしても、奇妙な事に客室内に生活感がない。
客室には高価なソファやテーブルがあるものの、使用感を感じなかったのだ…。
そして、周囲を物珍しそうに眺めていると、安奈さんが心配そうな表情で問いかけてくる。
「あの…何か変かしら?」
「あ、ごめんなさい。私の自宅は純和風の作りだから、つい、見入ってしまって…」
「へ~、美佳さんのお宅って和風的な作りなのね」
「ええ、そうなんですよ」
こうして、他愛のない会話を終え、私たちは用意されていた昼食を口にした。
それより約一時間が経過したころ…。
漸く内容は話したかった核心部分へと向かう。