NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.6~近似~

「ところで、その人が話にあった家政婦さんね。確か最初にこの公園で出会った時に美佳さんと一緒に居た人よね?」

「ええ、そうです」

 

その問いに答えた直後、早苗さんが間髪入れず安奈さんに向けて「本日は同伴を許していただきありがとうございます」と礼を言う。

 

そして歩き出してから約五分後…安奈さんの自宅へと到着する。

 

「ここが私の自宅です。どうぞお上がりになって」

「はい、お邪魔します」

 

私たちは安奈さんにそう告げられ、誘われるがまま彼女の自宅に足を踏み入れた。

 

「どうぞ、こちらへ」

「はい、ありがとうございます」

 

その後、家政婦に案内され、客室で待つこと数分後、安奈さんが姿を現す。

 

「ごめんなさい、少し待たせてしまったかしら?」

「いえ、そんなことないです」

 

こうして、ママ会が開催された。

 

「ママ会って初めてなので正直、緊張してます」

「あ、それは私もよ。ママ会なんて参加したことも開催したこともないしね」

「え、安奈さんもママ会に参加したことないんですか?」

 

客室内を見回しながら、安奈さんに問いかける。

 

「ええ、恥ずかしながら」

彼女は私の問いにやや申し訳なさそうに答えた。

 

それにしても、奇妙な事に客室内に生活感がない。

客室には高価なソファやテーブルがあるものの、使用感を感じなかったのだ…。

 

そして、周囲を物珍しそうに眺めていると、安奈さんが心配そうな表情で問いかけてくる。

 

「あの…何か変かしら?」

「あ、ごめんなさい。私の自宅は純和風の作りだから、つい、見入ってしまって…」

「へ~、美佳さんのお宅って和風的な作りなのね」

「ええ、そうなんですよ」

 

こうして、他愛のない会話を終え、私たちは用意されていた昼食を口にした。

 

それより約一時間が経過したころ…。

漸く内容は話したかった核心部分へと向かう。