NOVEL

年収一億超えの妻たち vol.6~近似~

唐突に訪れた新たな流れ。

ママ会で気づく共通の認識と重なる思いとは?

 


前回▶年収一億超えの妻たちvol.5~不信感~

はじめから読む▶年収一億超えの妻たち vol.1~結婚記念日なのに~

 

 

(行くべきか、行かざるべきか…)

 

漸(ようや)く訪れたママ会への誘い。

しかし、漸く訪れた機会だというのに何故か、迷いが生じている…。

なぜこんなに迷っているのだろうか?

 

それ故に安奈さんにメッセージを返信できずにいたのである。

 

(でも…どうして?)

 

理由は分からない。

かといって、このままというわけにもいかないし、いったいどうしたら…。

 

「どうしましたか奥様…? 何か悩まれてるようですが」

「あ…早苗さん、実は安奈さんからママ会に招待されたのだけど、少し迷っていて…」

 

早苗さんに問い掛けられた私は少し迷いつつも、その問いに答える。

そしてその直後、彼女が微笑みながら言う。

 

「分かります。初めてのことって不安を感じますよね?」

「え、ええ、本当にそうよね」

「でしたら私を聡也様の御守役として、同伴させていただくというのはいかがでしょうか?」

「えっ…?」

 

早苗さんの提案。

それは正直、意外過ぎるものだった。

確かにそれは願ってもない話であるが、だからといってこちらの判断で勝手に同伴させていいとも思えない。

 

(やっぱり、ひとまず安奈さんに聞いてみないといけないわよね?)

 

少し考えた末、そんな結論に達した私は、早苗さんに向けて告げる。

 

「ありがとう早苗さん、そう言ってもらえると心強いわ。ただ安奈さんに早苗さんと一緒にお邪魔していいか確認してみないといけないから返事は少し待ってほしいの」

「畏まりました、奥様」