電話で早苗さんに今晩、遅くなることを告げ、シャワーを浴びるとベッドへと直行する。
「自宅でするのとは、何か違うな」
「そうね」
「何が違うんだろうな?」
「ムードかしら?」
私たちは部屋の灯りを消し、室内が薄暗くなる。
敢えてそうしたのは、この方がもっとムードを楽しめるからだ…。
それにこっちの方がお互いの心の中の熱が高まる。
うっすらとした灯りに照らされ、窓から僅かに差し込む光を見据えながら本日、三度目の口付けを交わす。
翔平は年齢こそ一回り以上離れているが、それを感じさせないくらい情熱的に私の体を貪る。
ぶつかり合う肢体に熱を感じながら…。
そして、行為を終え、一時間ほど経過したころ…不意に彼は私に問いかけてる。
「泊まっていくのと帰るの、どっちがいい?」
「早苗さんに聡也のこと任せっきりだから、家に戻りたいのだけどいい?」
「分かった。帰ろうか」
翔平は私の言葉に納得し、チェックアウトを済ませた後、送迎用のベンツを呼んだ。
こうしてベンツに乗り込んだ私たちは、自宅へと帰宅する。
「お帰りなさいませ。旦那様、奥様」
到着すると、早苗さんが私たちを笑顔で出迎えてくれた。
胸躍る時間を満喫した私は、その余韻を噛みしめながら家の中へと足を踏み入れる。
「ありがとう、早苗さん。面倒をかけてしまって、ごめんなさい」
「いえ、これも仕事のうちですから気になさらないでください」
私の言葉に対し早苗さんは微笑みながら答える。
本当に彼女には感謝しかない。
これで離れていた彼との距離は、きっと縮まるだろう・・・。
私はそう考えていた。