こうして彼は私に出会ったという。
だが…その先で知り合いに会うなど、そうある話ではない。
つまり、私との出会いに何かしらの縁を感じたのだという。
一言でいえば運命…。
きっと私も、この出会いにそう言ったものを感じていたのだろう。
こうして翔平との交際は始まったのである。
彼は代表取締役社長という立場で威張り散らすこともなく、とても紳士的に接してくれた。
そんな彼に惹かれ、私たちは順調に交際を積み重ねていく。
そして・・・交際を始めてから一年後。
「一緒になってくれないか?」
ベッドの上で口づけを終えた後、彼は私にそう告げてきた。
「本当に私でいいの?」
「結婚するなら君しかいなよ美佳。私と結婚してくれ」
囁くような口調で、そう告げる翔平。
当然、断る理由などなかった。
これから幸せになれる…。
紳士的で、気遣いもできて、体の相性も良い。
二人がこれから歩む人生に対し幸せ以外、想像できなかったのだから。
そして、私は彼のそんな言葉に感激し涙を流す。
その後、再び口づけを交わし、私たちは愛を確かめ合う行為に至った。
熱い一夜を終え、私たちは結婚した。
それなのになぜ、こんな事になってしまったのだろうか…?
いったい何時から…。
結婚した年は、変わらず愛し合えていたはずなのに…。
彼は変わってしまった。
変わってしまったのは子供ができてからなのか…。
それとも、それ以外の別の何かが原因なのか…。
今となっては私にも分からない。
何で、こんなことになってしまったのだろうか…?