今までまともに会話もできず、男性との接点も思いの他なかったため、本音をいえば婚活パーティに対してあまり期待はしていなかった。
しかし、私には他に選択肢がない。
だからこそ、婚活パーティに頼るしかなかったのである。
でも、その日は予想に反して、意外な出会いが訪れた。
その出会いとは現在の夫・翔平との出会いである。
「久し振りだね、宮坂さん」
そう声をかけてきたのは一度、面識があったからだ。
その面識とは会社間の縁によるものである。
彼は名古屋市内にあるIT企業の代表取締役社長であり当時、社長秘書だった私は彼を社長室に案内した。
そんなこともあり彼は私に好意的だったのである。
何せ「礼儀正しく御淑やかで、その上、落ち着いた大人の色気のある良い秘書ですね、彼女は」と社長に言うくらいだ。
余程、気に入られていたのだろう。
だが、そんな事があったからこそ、私が婚活パーティに参加していることが意外だったらしい。
しかし、それは、こちらにしても同様だった。
経営する会社はかなり大企業であり、結婚相手には困らない印象があったのだけど…何でこんな所にいるのだろうか?
正直、疑問しかなかった。
「宮坂さん、君が婚活パーティに居るのは正直、意外だったな」
でも、そんな私の思いなど、そっちのけで翔平は婚活パーティに参加した理由を聞いてきた。
結局、無下に出来るはずもなく…。
私はその問いに答えた。
しかし、それを聞くなり今度は彼が、婚活パーティに参加している理由を話し始める。
話によれば、ある程度想像していた通り、お見合いの話はそれなりにあったそうだ。
だけど彼曰く、誰かに伴侶となる者を決められるのは好きではないらしい。
そういった理由から、彼は自分の結婚相手を探すために婚活パーティに応募したのだそうだ。