見上げると少しグレイがかった瞳と目が合った。
「綺麗な瞳ね、ネコみたい」
「悪さする?」
「そうね、しそう」
さっきの話を思い出して紗希はまたクスッと笑う。
紗希の手からポットを取り上げ、純也はそのまましっかりと抱きしめる。
軽く触れるだけだった口づけが繰り返されるうちに深くなっていく。
そのまま、ふたりで緩やかに融け合った。
どれくらい時間が経ったのだろう。
外からの風が少し肌寒くなってきている。
目を冷ました紗希は窓を閉めようと身体を起こしかけた。
「・・ん、どこ行くの?」
純也が回していた腕に力を込める。
「窓、閉めなきゃ。寒いでしょう?」
「・・大丈夫、こうしてれば暖かいよ」
顔の向きを変えると、純也が真面目な顔で見つめてきた。
「ね、僕たち恋人同士、だよね?」
その言い方は小さな子どもが甘えるようで、紗希は思わず笑った。
「紗希ちゃん、僕真剣なんだけど!」
純也が少し、怒った様な声を出す。
「・・ごめんなさい。でも、恋人って何かしら?」
紗希の答えを聞いて、純也はため息をついた。
「・・はぁ、やっぱり紗希ちゃんって変わってる」
「そうかな?でも純也のこと、嫌いじゃないわよ?」
「ちぇ、なんかショック。僕、結構モテるんだよ?」
確かにそうだろう。ルックスも勿論だが話していて心地良い。