NOVEL

運命の輪 vol.7~ぬくもり~

アペリティフが並べられたダイニングテーブルを見て、純也が声を上げる。

「わお、美味しそう!このテーブルもすごく良いね!」

「でしょう?」

純也が同じ様なコメントをくれたことが嬉しくて紗希は微笑んだ。

 

ラリックのAvalonにブーケを挿す。

レリーフされている葡萄や小鳥が気に入って、数年前購入した品だ。

窓からの陽光と天井のライトを吸い込み、内側から光を放っている。

 

「どうぞ、わが家の最初のお客様に乾杯」

グラスを差し出しながら沙樹が言う。

「光栄です」

純也がわざと大袈裟にグラスを掲げる。

 

紗希は笑いながら

を注いだ。

 

  • Love affair

 

「本当だってば。撮影で借りて来たエルメスにネコが粗相しちゃって大変だったんだよ」

「そんなこと、あるの?」

クスクス笑いながら紗希がポットを取りにキッチンへ向かう。

 

用意した食事を綺麗に平らげて、食後のコーヒータイム。

純也の話が楽しくて、会話が止まらない。

「コーヒーのおかわりはいかが?」

「ん、もういいかな」

 

いつの間にか後ろに回り込んでいた純也が背中から紗希を抱きしめた。

腕の中で身体を回し正面を向くと軽い口づけを落とされた。

 

「ね、いい?」

「・・何が?」

紗希の答えに純也が頰を膨らませる。

「はぐらかしてる?僕、割と本気なんだけど」