「だって、ほら。余計なお世話かもしれないけど、河合さんには幸せになってもらいたいの。前のことだってあるし…。」
公平のことを言っているのだな、とピンときた。
「別に、斎藤さんが気にすることじゃないよ。それに、調べてくれたのはありがたいけど、わたし、アプリとかはちょっと手を出したくないの。」
斎藤は納得がいっていないようだったが、
「そっか。わかった。何かあったら言ってね。」
と心配そうに見つめた。
―優しい子だな。
なぜそんなに他人に親切にできるのだろう、と疑問に思いながら、麺を口に運ぶ。
舌に痛みが走り、麺が熱かったのだと理解した。
Cと会う日は、花金効果も相まって、うきうきしていた。
次の日は休みだし、せっかくなので自宅からちょっと遠くのホテルで会うことにした。
一宮市にある、高級ラブホテル。
プレミアムスイートもあるホテルは、できたばかり。上質なデザインルームで、細部まで高級感がにじみ出ているのがうりのようだ。
タクシーで着いたのは、集合時間の20分前。外で立っているのも目立つため、ホテルに入って待つことにした。
フロントは清潔感のある白で統一されていて、ビジネスホテルのような雰囲気だった。観葉植物も受付カウンターの下に置かれている。
部屋の写真の埋め込まれた大きなパネルには、空き部屋を知らせるランプがいくつか灯っている。どういう部屋があるのか、好奇心の赴くままに見てみる。
全体的にフリルやピンク色の女の子らしい部屋から、和モダンな部屋まで選り取りみどりだ。
―どういう部屋がいいんだろうなー。