褒めてくれたことがまた期待値を高める。
ボディソープを泡立てる手が、いつもよりも素早かった。
今日の成果は、○。
スタミナもあるし、力強い。
抱いたときの感覚はイマイチでフィット感がないけれど、おおむね満足した。
「大丈夫?」
と気遣ってくれたし、
「かわいい」
と褒めてもくれた。
―この人は慣れてるな。
と冷静に分析できたのは、全てが終わってからだった。
頭で考える余裕がないほど、良い時間だった。
「すごくよかったです。ぜひまたお会いしたいです。」
帰り際、幸枝から伝えた。
「喜んでくれたならよかった。」
満面の笑みを見せる。
「また連絡して。」
そう言って、紙に書いた連絡先を渡される。何の意味もないような数字と英字が並んでいた。
捨てアドレスだろう。
「夜も遅いし、送っていくよ。」
紳士らしく提案してくれたが、幸枝はお断りした。まあいいか、と厚意に甘えてしまったら、情がわいてきてしまう。
深入りはしない。
タクシーを呼び、彼を見送る。つい先ほどのことを思い出す。まだ余韻があるのか、体が熱い。顔が火照っているようだ。