「初めまして。」
「どうも。」
よほど疲れているのだろうか、それとももともとの性格だろうか、やけにドライな人だ。かけている銀縁のメガネまでくすんで見える。
「今日は遠いところまでありがとうございます。」
「出張だったので、気にしないでください。」
―この人、大丈夫かな。
仕事終わりにお願いしたのがまずかったのだろうか。期待が大きかった分、落差が激しい。エレベーターが目的の階をさす。
目指す部屋番号は、408だ。
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愛されている実感がほしい。大切にされているのだと感じたい。それを叶えてくれる人に幸恵は出会えるのだろうか・・・