NOVEL

2番目の女 vol.6 〜既読にならない週末〜

森田さんは今まで彼女がいたそうだが、なかなか長続きしなかったらしい。その理由は、森田さんが彼女のことを好きになれなかったから。告白されても断ることができずに付き合っていたが、付き合っても好きになれないままで罪悪感を感じ、すぐに別れたそうだ。

 

話をしている中で、森田さんがモテていた理由がわかった。営業職をしていることもあり、人見知りは全くなく人当たりも良い。先輩にも後輩にも好かれるタイプだろう。歳が離れた妹のお世話も積極的にしていたからか、面倒見も良さそうだ。歳下であることを忘れてしまうくらい、頼り甲斐がある男性だった。

 

近所のカフェで数時間話をしただけだが、森田さんの人としての良さが感じられた。そして、1回会っただけでは終わらせたくないという気持ちが芽生えてしまった。

 

その日、森田さんとは待ち合わせ場所の名古屋駅で分かれることになった。改札口に入り、それぞれの駅へ向かうためのホームに向かう。

 

「じゃあ、今日はありがとうございました」

 

ホームへの階段に足を向ける。すると、急に腕を掴まれ足が止まる。振り返ると、森田さんが私の腕を掴んでいた。

 

「また会いたいです、友梨さん」

 

そう言った森田さんはすぐに手を離し「じゃあ、気をつけて」と手を振ってホームへと消えていった。

 

私の腕には、森田さんに掴まれた感覚が、まだ残っていた。

 

 

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