此処はまさに、異次元だった。
「初めまして…珠子と申します」
何とか、挨拶だけは出来たが…
雄一郎は珠子の事を一切無視して、麻梨恵だけを瞳に映していた。
「いつ、日本に戻ったんだよ」
「半年前くらいかしら?雄一郎が身を固める決心をしたって、聞きつけて…興味があってね」
麻梨恵は、珠子を品評するかの如く見つめ、クスっと笑った。
「素敵な奥様ね!」
少ししゃがれた、セクシーな低音が珠子の耳をくすぐる。
―怖い…この、空間も、この人も…―
一気に緊張の糸が、プツンと音を立てて切れて…珠子は、その場に倒れ込んだ!!
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夜会で倒れてしまった珠子は寝室のベッドの上で目を覚ました。珠子専属のスタイリスト愛子がずっと付き添ってくれ、夜会で出会った女・麻梨恵について赤裸々に語り始めた。