NOVEL

勝ち組妻 Vol.2 ~タワマンに住む専業主婦の願い~

 

 

タワマンに住む専業主婦の願い!ついに動き始める計画・・・

 


 

前回:勝ち組妻 Vol.1 ~タワーマンションの人間模様~

 

 

人の役に立ちたい。

 社会との繋がりを少しでも感じていたい。

しかし、会社を辞めて数年、ブランクもあり中年であるといったら、なかなか雇ってもらえないのではないだろうか。 

就職活動をしなければならないとなれば、気が重くなってしまう。

 なにより、まだ、外の世界でいろいろな人と会うのはしんどい。

 そんな今の自分にできることといえば、と考えたとき、長年趣味で学んでいた占いが浮かんだ。

 ありがたいことにお金には困っていないので、無償でしたい。

 完全に自己満足と博愛の精神だ。

 幸い夫の了解も得られたので、心置きなく始められる。

 

―さて。どうしようか。

 そうなると困るのが、誰をどこで占うかだった。

 京子が占いを嗜んでいるということは、幸雄以外には誰にも言っていない。

 まずは占いをする場所が必要だった。

 京子の住むタワーマンションでは、住民交流イベントが開かれる。

 管理会社が主体となって季節ごとに開かれるイベントは、例えば七夕やお月見など様々だ。

 普段話せないタワーマンションに住む人々と関われるということで、子供から高齢者まで人気の企画のようだった。

 京子は、このタワーマンションに引っ越してきて1年、これらのイベントに参加したことはなかった。

  

住民交流イベントについて思い出したのは、お昼時だった。

 デパ地下で買ったおこわ米八の弁当を食べ終わり、食器を洗いながら占いをどうするか考えていたときだった。

 ―そういえば、イベントのお知らせがきていた気がする。

 水で濡れた手をタオルで拭きながら、50帖ほどのリビングを見わたす。

 ―どこにやったかしら。

 ポストに入っていたクリスマスイベントのお知らせが、リビングテーブルに置いてあるのに気がつく。

 ―あった、あった。

 A4のコート紙は、触ると厚手でしっかりしている。

 〝クリスマスパーティー開催″と書かれた表題は、赤色の文字に白で縁どられていた。

これだわ!

 

タワーマンションの住民ならば、素性が知れている分、いくらかこちらも気を許しやすいかも知れない。

 長い付き合いになるかもしれない住人であるし、以前からどういう人が住んでいるのか、少し気になってはいた。

 それに、これはチャンスではないだろうか。

 京子に身近な話友達ができる、という点からみて。

 

一方、

 同じマンションの人には、悩みは話しにくいかな

 という心配も京子の胸にはあった。